成長期でスポーツに取り組むジュニアアスリートが試合でパフォーマンスを発揮するためには、食べるものや食べるタイミングなどに気を配る必要があります。特にスポーツ選手は、筋力や骨強化をめざし、翌日に疲労を残さないことも良いパフォーマンスを行うための大切なポイントです。今回は、ジュニアアスリートの食事で気を付けたいことや目的別のおすすめ献立を紹介します。
ジュニアアスリートの食事で気を付けたいこと
小学生から高校生までの子どもは身体と心が大きく成長する時期です。健康的な身体を作り、競技で活躍できる体力や運動するうえで必要な筋力を養うためには、バランスの取れた栄養を取ることが欠かせません。人の身体は食べ物によって作られており、食べることによって必要なエネルギーや栄養素を体内に取り入れます。子どもが必要なエネルギーのうち、生活するために必要なエネルギー、身体を成長させるためのエネルギーは運動をしている、していないに関わらずすべての子どもに必要です。スポーツに取り組むジュニアアスリートは、さらに運動するためのエネルギーが必要になります。
生きるために必要なエネルギーと成長のために必要なエネルギーは運動するためのエネルギーよりも優先度が高いですが、運動するためのエネルギーに重きを置きすぎるとエネルギー不足となり、身長の伸びなど身体の成長に影響が出ることがあり、注意が必要です。また、栄養が不足すると集中力の欠如などにもつながります。1度の食事で食べられる量には限界がありますので、3食しっかり食事をすることを心がけましょう。特に、朝ごはんは体内時計を整えたり集中力を高めたりする大切な役割があるので、時間がないからなどの理由で欠食することは避けたほうがよいです。
ジュニアアスリートが試合でパフォーマンスを発揮するための食事のコツ
栄養バランスの取れた食事の献立を考えるために、1食に次の5種類を揃えるように心がけましょう。
主食:ごはんやパン、麺類などエネルギー源になるもの
主菜:肉や魚、卵、大豆製品など良質の筋肉や骨を作るタンパク質
副菜:野菜や海藻、きのこ、イモ類など、身体の調子を整えるビタミンやミネラル
乳製品
果物
献立を考える際には主菜を決めてから、主菜に合う主食や副菜を決めていきましょう。
ジュニアアスリートの場合は3度の食事だけで必要な栄養素をすべて取るのは難しいので、食事と食事の間に捕食(おやつ)を取り入れましょう。乳製品や果物は補食としておすすめの食材です。学校が終わった後練習に行く場合は昼食から時間が空くので、おにぎりやバナナなどの糖質を取ると消化が良く、身体を動かすエネルギーを効率良く補給できます。練習後は分解されたタンパク質や消費されたグリコーゲンを補給するために乳製品などを取ると疲労回復にも効果的です。
苦手な食材がある場合は、なぜ苦手なのか、どれくらいの量なら食べられるのかを子どもとコミュニケーションを取りながら、親子で克服していきましょう。例えば調理法を変えてみる、最初は一口から頑張ってみる、などが一例です。
目的別のジュニアアスリート向けおすすめ献立例
ここからは、目的別のジュニアアスリート向けおすすめ献立例を紹介します。
貧血予防におすすめのメニュー
高野豆腐の肉豆腐・サバトマチー・ブロッコリーとナッツのおかか和え
高野豆腐は木綿豆腐や絹ごし豆腐と比べてカルシウムや鉄分が多く、血液の生成にも役立ち貧血予防になります。豆腐の代わりに栄養価に優れた高野豆腐を使うことで、煮汁がしみて美味しく食べられるのがポイントです。副菜のサバトマチーもサバ缶とチーズでタンパク質や鉄分が取れます。添えられているブロッコリーやシメジでビタミン類を摂取できるのが嬉しいポイントです。ブロッコリーとナッツのおかか和えは、ブロッコリーに含まれるビタミンB6やナッツに含まれるビタミンEによって鉄分の吸収を高められます。
疲労回復におすすめのメニュー
レモン風味のショウガ焼き・ベビーホタテと小松菜のミルク煮・ニンジンの卵炒め
糖質をエネルギーに変えるときに必要なのがビタミンB1で、ビタミンB1は疲労回復にも効果的な食材として知られています。ショウガ焼きの主材料にビタミンB1を多く含む豚肉が使われており、レモンを加えることで通常のショウガ焼きよりさっぱりと食べられることがポイントです。副菜のベビーホタテと小松菜のミルク煮にはタンパク質、カルシウム、ビタミンB1が含まれています。ニンジンの卵炒めは、ベータカロテンを始めとしたビタミン類が豊富なニンジンと良質のタンパク質である卵の組み合わせがポイントです。
筋力UPにおすすめのメニュー
鶏むね肉のカレーマリネ・白身魚のカルピオーネ・カボチャとブロッコリーのキッシュ
筋力UPを図るにはタンパク質が欠かせませんが、エネルギーが不足すると筋肉が燃やされてしまうので、タンパク質だけでなくエネルギーも必要になります。鶏むね肉は高タンパク低カロリー食材の代表格です。白身魚のカルピオーネからはタンパク質やビタミンB12が摂れる他、添えられた野菜からビタミンDやミネラルも摂取できます。キッシュには緑黄色野菜のカボチャとブロッコリーの他に乳製品、エネルギー源となる食パンが含まれています。
免疫力UPにおすすめのメニュー
ビタミンACE豚しゃぶ・サケとパプリカのバルサミコマリネ・腸を整えるミラクル和え
免疫力を高めるために必要な栄養素としてタンパク質、ビタミンA・C・D・E、亜鉛などがあります。ビタミンを多く含む野菜とビタミンB1を多く含む豚肉を使った豚しゃぶは、バランス良く必要な栄養素が摂れる一品です。サケのマリネではビタミンB・Dの摂取ができます。酸味の柔らかいバルサミコ酢を使っているのがポイントです。タンパク質を多く含む納豆や食物繊維が豊富なキノコ、カルシウムが多い小松菜などが含まれるミラクル和えは、腸内環境を整えてくれます。
骨強化におすすめのメニュー
イワシのハンバーグ和風ソース・鶏肉とヒジキの梅煮・厚揚げと大豆のチーズ焼き
骨強化にはカルシウムの他、タンパク質や吸収力を高めるビタミンDなど脂溶性のビタミン類が必要です。イワシのハンバーグでカルシウムやタンパク質を摂取できる他、付け合わせの野菜からビタミンも摂取できます。ヒジキもカルシウムを多く含む食材として知られており、合わせ材料として使われている鶏むね肉は高タンパク低カロリーで、ジュニアアスリートにぴったりな食材です。厚揚げと大豆のチーズ焼きではカルシウムと鉄分を摂取できます。